先日 神保町の大屋書店さんで『順序摺(じゅんじょずり)』を見せて頂きました。
『順序摺』とは浮世絵の工程を説明する小冊子で、素人向けにたまに作成するのだそうです。
「エンボス加工の浮世絵を見たいのですが」と言ったら『順序摺』を見せながら工程の説明までしてくださいました。
一色ずつ摺り重ねるときも、エンボス加工も、ピタッと輪郭線に合わせていてズレていないのが職人技です。黒い着物に赤い帯、白い着物に黒い帯、という組み合わせも粋だなぁ~、と思って入手しました。作品名を聞きそびれましたが、江戸時代後期の鈴木春信の作品です。
小B6判、手のひらサイズ。
京都の版画屋さんの作品です。
(1)輪郭線を摺る。
(2)傘の内側の色だけを摺る。
(3)擦り重ねる。
(4)襦袢と帯の赤色のみを摺る。
(5)摺り重ねる。
(6)羽織と帯の黒色のみを摺る。
(7)摺り重ねる。
(8)最後に、白い着物の柄を
エンボス加工する。
凹凸が見えます。
(9)摺り重ねる。
このように、着物の柄が
エンボスで表現されています。
白い絵具を重ね摺しません。
浮世絵のエンボス加工は珍しくいもので 少し厚い質の良い紙でないとできません。ザラッとした紙の凹凸をつい触ってしまいます。この加工は 白地の着物の織りの表現としてよく見られます。あえて白い顔料を塗らないところが、とても粋です。
神保町は古本で有名で、大屋書房の他に原書房や東洲斎など老舗の浮世絵屋さんもたくさんあります。
詳細はこちらをのサイトがオススメです。⇒ BOOKTOWNじんぼう (jimbou.info)
江戸時代の世界地図や黒船来訪の浮世絵など華やかで目を引く作品もありますし、1000円台から手に入る最近摺り直した復刻版や、糸で閉じられた江戸時代の草紙が積み上げられています。欲しいものがあれば「このへんにあるかも」と店員さんにヤマを教えて貰い、自分で浮世絵をめくって探します。最初にこの山を見たときは「昔の浮世絵って買えるんだ!」とシンプルに驚きました。
神保町は比較的年齢層が高い常連さんが多いのかな、と思っていたのですが、海外観光客らしき人もよく見かけます。学生カップルがお互いオススメポイントを言いながら熱心に物色しているのを見かけると、ホクッとします。
ちなみに、日曜日は殆どの神田の古本屋さんが閉まっていて 営業日の閉店も早めで 17か18時です。とはいえ、「今日は人手が足りないから16時で閉めることにします」「今日はお客さんがいるので19時まで開けときます」と、おおらかなお店もあります。